新型コロナウィルス、軽症者から中等症向け国産治療薬『ゾコーバ』が承認されました。

国内企業で初めて塩野義製薬が開発した『ゾコーバ』が新型コロナ感染者に対する治療薬として認可されました。

ゾコーバについて解説致します。

ゾコーバの臨床試験では治療開始から下記の5症状が快復するまでの時間とされました。

『倦怠感または疲労感』

『熱っぽさまたは発熱』

『鼻水または鼻づまり』

『咽頭痛』

『咳』

対象選択基準

1)12歳以上18歳未満で体重 40kg以上の者と 18歳以上70歳未満の者。

2)治験薬投与開始~投与終了後少なくとも 10日間避妊が可能な者

3)新型コロナ感染症の患者(PCR陽性であること)

4)1倦怠感又は疲労感、2筋肉痛又は体の痛み、3頭痛、4悪寒又は発 汗、5熱っぽさ又は発熱、6鼻水又は鼻づまり、7喉の痛み、8咳、 9息切れ(呼吸困難)、10吐き気、11嘔吐、12下痢、13味覚異常、14嗅覚異常のうち1つ以上の症状が認められること

5)1倦怠感(疲労感)、2筋肉痛又は体の痛み、3頭痛、4悪寒又は発 汗、5熱っぽさ又は発熱、6鼻水又は鼻づまり、7喉の痛み、8咳、 9息切れ(呼吸困難)、10吐き気、11嘔吐、12下痢の諸症状のうち、症状のスコアを被験者本人が4段階( 0: なし 、1: 軽 度 、2: 中等度 、3:重度)で評価し、1つ以上が中等度以上であった場合

除外基準

1)妊婦もしくは妊娠している可能性がある者は除外

2)SpO2が 93%以下(酸素投与なしの状態)の者は除外

3)酸素投与を要する者は除外

4)人工呼吸器を要するものは除外

5)中等度以上(CTCAE第 5.0版 Grade2以上)の肝疾患の現病歴又は慢性病歴を有する者は除外

6)中等度以上(CTCAE第 5.0版 Grade2以上)の腎疾患の現病歴又は慢性病歴を有する者は除外

上記の選択・除外基準を満たした1215例(日本人 662例)がエントリーされました。

それらのうち、ベースラインの鼻咽頭ぬぐい検体を用いたPCRにより陽性と判断され、 さらに諸症状発現から無作為化割付(治療開始)までの時間が72時間未満であった690例を解析したところ、5症状が快復するまでの時間が偽薬群で192.2時間であったのに対し、同剤投与群では167.9時間であり、約1日回復までの時間が短縮されたと報告されました。

こうしたデータに基づき医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、「現時点での結論であることに留意する必要はある」と断りつつも、「有効性を有すると推定するに足る情報は得られた」と結論づけられました。

日本感染症学会は、重症化リスク因子のない軽症例の多くは自然に改善することから、高熱や強い咳症状、強い咽頭痛等の諸症状がある者に処方を検討することとしています。

これらのデータを見てSNS等ではたった1日だけ?!という意見が多いように思いました。でもね、これある薬と同じですよね。そう、インフルエンザ治療薬タミフルです。タミフルもインフルエンザの辛い症状が1日短くなるとされる薬です。症状が辛いような方は内服した方がいいのかなと個人的には思います。

なお、併用禁忌や併用注意の薬も多く以下に代表的なものを記載しました。定期内服薬がある方は必ず医師、薬剤師に相談するようにお願いします。

なお、妊娠中の方、妊娠の可能性がある方は内服できませんのでご注意ください。

ゾコーバの処方方法

通常12歳以上の小児及び成人にはて1日目は375mgを、2日目から5日目は125mgを1日1回経口投与する。

処方の禁忌

禁忌(次の患者には投与しないこと) 

1)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者 

2)次の薬剤を投与中の患者:

ピモジド(オーラップ):向精神薬

キニジン硫酸塩水和物:抗不整脈薬、

ベプリジル塩酸塩水和物(ベプリコール):抗不整脈薬

チカグレロル(ブリリンタ錠 ):抗血小板薬

エプレレノン(セララ):ミネラルコルチコイド系降圧薬

エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン(クリアミン):頭痛治療薬

エルゴメトリンマレイン酸塩(パルタン):子宮収縮止血薬

メチルエルゴメトリンマレイン酸塩:子宮収縮止血薬

ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩(ジヒデルゴット/ヒポラール):頭痛薬・低血圧治療薬

シンバスタチン(リポバス):脂質異常治療薬

トリアゾラム(ハルシオン):不眠症治療薬

アナモレリン塩酸塩(エドルミズ):肺癌・膵癌・胃癌・大腸癌に伴う悪液質治療薬

イバブラジン塩酸塩(コララン):心不全治療薬

ベネトクラクス(ベネクレクスタ):再発又は難治性の慢性リンパ 性白血病治療薬

イブルチニブ(イムブルビカ):再発または難治性の慢性リンパ性白血病治療薬

ブロナンセリン(ロナセン):向精神薬

ルラシドン塩酸塩(ラツーダ):双極性障害・うつ病治療薬

アゼルニジピン(カルブロック):降圧薬

アゼルニジピン・オルメサルタンメドキソミル(レザルタス):降圧薬

スボレキサント(ベルソムラ):不眠症治療薬

タダラフィル(アドシルカ);肺高血圧治療薬 

バルデナフィル塩酸塩水和物(レビトラ):ED治療薬

ロミタピドメシル酸塩(ジャクスタピッド):ホモ接合体家族性高コレステロール血症治療薬

リファブチン(ミコブティン):MAC治療薬

フィネレノン(ケレンディア):2型糖尿病合併腎不全治療薬

リバーロキサバン(イグザレルト):抗凝固薬

リオシグアト(アデムパス):肺高血圧治療薬

アパルタミド(アーリーダ):前立腺癌治療薬

カルバマゼピン(テグレトール):てんかん・痙攣治療薬

エンザルタミド(イクスタンジ ):前立腺癌治療薬

ミトタン(オペプリム):副腎皮質癌治療薬

フェニトイン(ヒダントール・アレビアチン):てんかん・痙攣治療薬

ホスフェニトインナトリウム水和物(ホストイン):てんかん・痙攣治療薬

リファンピシン(リファジン) :結核治療薬

セイヨウオトギリソウ :( St.John’s Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品

3)腎機能又は肝機能障害のある患者で、コルヒチンを投与中 の患者

4)妊婦又は妊娠している可能性のある女性

併用注意の薬剤(主なもの)

1)副腎皮質ステロイド剤(内服剤もステロイド。プレドニンなど):免疫抑制剤

2)アトルバスタチン(リピトール):脂質異常症治療薬

3)エレトリプタン(エレトリプタン):頭痛薬

4)ニフェジピン(アダラート・セパミット):降圧薬

5)フェロジピン(スプレンジール):降圧薬

6)ベラパミル(ワソラン):頻脈性不整脈治療薬

7)ハロペリドール(セレネース):統合失調症・夜間せん妄治療薬

8)クエチアピンフマル(セロクエル):統合失調症・夜間せん妄治療薬

9)ワルファリン(ワーファリン):抗凝固剤

10)アピキサバン(エリキュース):抗凝固剤

11)ジソピラミド (リスモダン):抗不整脈薬

12)シロスタゾール (プレタール):抗血小板薬

13)ロスバスタチン(クレストール):脂質異常症治療薬

14)タダラフィル(シアリス・ザルティア):ED治療薬・前立腺肥大治療薬(肺高血圧治療薬としては禁忌)

15)ジゴキシン(ジゴシン):不整脈薬

などがあげられます。ここに記載されていないものもありますので、必ず医師または薬剤師に相談するようにお願いします。