高血圧の治療を適切に行うと認知症の発症リスクが低減します。

Journal of the American College of Cardiology誌2024年4月2日号に掲載された論文によれば、適正な降圧治療を行うと2%から24%の認知症発症リスクの低下がみられたと報告されました。これは、85歳以上やフレイル(この論文では1年後の死亡リスクが高いという意味)の患者においても同様であったとされました。

降圧薬の適正使用は将来の認知症発症リスクを下げるという報告は一昔前から報告がたくさんあります。

例えば、The Journal of Prevention of Alzheimer’s Disease誌2022年号の報告によれば、降圧薬の使用とアルツハイマー病発症率低下との関連が認められ、とくに、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)の使用は、降圧薬の中でも最大の予防効果をもつ可能性を示しています。論文の著者らは、降圧が認知機能保護の唯一のメカニズムである可能性があると結論付けています。(これはちょっと言い過ぎじゃないか?と思いますが、、、。)

ちなみにARBはミカルディス、ディオバン、オルメテック、アジルバ、ニューロタン、イルベタン、ブロプレスという薬です。安全性が高く、第一選択薬もしくは第二選択薬として処方されることが多い薬です。

また、アイルランド・Galway国立大学・Saolta大学病院グループのDiarmaid Hughes氏らもまた、JAMA誌2020年5月19日号にて降圧による認知症・認知機能障害の予防的効果を報告しています。論文によれば認知症や認知機能障害の発生リスクは適正な降圧群の方が有意に低下したことを示しました。

ここに挙げた、論文は本の序の口で、高血圧と認知症の関係は多くの論文で因果関係があるとされています。高血圧によって脳への血流を担う血管が動脈硬化を起こし、血流が低下したり、微小な脳梗塞を起こしたりする事が原因とする報告もあります。

正常血圧を目指すべく、日々の塩分制限・体重制限・運動促進、そして薬物治療を行っていく事が大切です。高血圧は多少高くても症状がありません。症状が出始めてからでは遅いのです。

血圧の基準は以下の通り。