本邦における新型コロナ感染症小児死亡例の解析

国立感染症研究所が主体となり本邦の20歳未満の小児で新型コロナが原因で死亡した症例を解析した結果の第二報が出ましたので共有したいと思います。

解析された症例は、計62例(年齢:0歳9例(15%)、1-4歳19例(31%)、5-11歳25例(40%)、12-19歳9例(15%)、性別:男性33例(53%)、女性29例(47%))でした。

62例のうち実地疫学調査が実施できた症例は57例(92%)で、うち内因性死亡と考えられた症例は50例(88%)、外因性死亡と考えられた症例は7例(12%)とでした。

A)内因性のものについて

1)推定感染経路は、家族内感染が23例(同居の成人14例、同胞6例、同居の成人または同胞3例)でした。

2)新型コロナワクチン接種は、死亡時点で接種対象外年齢の者が24例(48%)、接種対象年齢の者の5歳以上が26例(52%)でした。

3)接種対象年齢の死亡者26例中、未接種死亡者が23例(88%)、2回接種死亡者が3例(12%)でした。2回接種を受けた3例は全て12歳以上であり、発症日は、最終接種日から最低3ヶ月を経過していました。

4)基礎疾患は、内因性死亡者数50例のうち、21例(42%)に基礎疾患があり、29例(58%)は基礎疾患がありませんでした。基礎疾患ありの内訳は、中枢神経疾患7例(14%)、先天性心疾患5例(10%)、染色体異常5例(10%)等でした(重複あり)。

5)来院時心肺停止の症例は22例(44%)でした。その全例が発症から1週間未満でした。

6)医療機関において疑われた死亡に至る主な経緯は、中枢神経系の異常19例(38%:急性脳症等)、循環器系の異常9例(18%:急性心筋炎、不整脈等)、呼吸器系の異常4例(8%:細菌性肺炎を含む肺炎等)、その他9例(18%:多臓器不全等)、原因不明9例(18%)でした。

7)中枢神経系が死亡原因とされた症例は発熱、意識障害、痙攣、悪心嘔吐発症を認め、心肺停止まで0-4日が13例(68%)と短時間で急激な悪化を見られるのが特徴です。CTでは急激に進行する脳浮腫や脳ヘルニアが認められたと報告されています。

B)外因性のものについて

1)5歳未満2例(28%)、5歳以上5例(72%)でしたがその多くが不慮の事故と判断されています。なお交通事故、火災、中毒、自然災害によるものは含まれていませんが、外因の発生直前に意識障害が疑われるものがあったと報告されています。