牛乳を飲み過ぎると骨折リスクが上昇する?!

骨にいいと言えばなんとなーく牛乳?的なイメージありますよね。

今回Journal of Nutritional Scienceに2023年9月号で報告された牛乳と骨折の関係について取り上げたいと思います。

牛乳摂取量が多い人ほど骨折率や死亡率が高いという噂を聞いた事はありますか?これはまことしやかに囁かれていて、女性でかつ牛乳摂取量が1日3杯以上だと特に危険という報告もあったのです。他方で牛乳摂取は骨折の頻度を減少させて死亡リスクも低下させるという報告もありはっきりとしていなかったのが実情でした。今回、米国・メリーランド大学が本年9月に報告した内容を共有したいと思います。

1946~2021年12月までの研究を再解析しての報告です。13件の研究から成人48万6950人、骨折1万5320件を解析しました。

結果:牛乳の摂取は、1日あたり400gまで大腿骨近位部骨折のリスクが上昇する事がわかりました。確率としては1日あたり200g当たり7%のリスクアップでした。牛乳摂取量が1日あたり0g群と比較して、1日あたり400g群では大腿骨近位部骨折のリスクが最も高かったのです。
また、牛乳摂取量1日あたり400gを超えるとリスクは多少低下しますが、牛乳を全く摂取しない人と比較すると高い事がわかりました。

また、他の乳製品はどうかというと、、、。

ヨーグルト摂取に関する分析では、ヨーグルト250g/日当たり大腿骨近位部骨折リスクが15%低下する事がわかりました。そしてチーズ摂取に関する分析では、チーズ43g/日当たり大腿骨近位部骨折リスクは19%低下しました。

なぜこのような結果になったのか?

BMJ誌など過去の論文によれば、牛乳に含まれる乳糖は、ブドウ糖とガラクトースからできているのですが、このガラクトースが問題らしいのです。これが体内で酸化ストレスを引き起こした事が原因とのことでした。実際に牛乳をたくさん摂取すると尿中の酸化ストレスを反映する物質が増える事が分かっています。(あくまで一説です。このような機序が関係しているのかも!?くらいに思って下さいね。)

では他の乳製品はどうかと言うと、ヨーグルトとチーズは、発酵によってガラクトースが分解されるため、酸化ストレスが体内で起きず、ほとんどの論文で骨折リスクが低減したとの結果になったのです。(しつこいですが、このような機序が関係しているのかも!?くらいに思って下さいね。)

結論としては骨密度を増やしたい人はヨーグルトやチーズを積極的に撮るようにしましょう!と言うことになりますが、私の個人的見解としては『私は牛乳が大好き!』って人は牛乳を今まで通り飲めばいいと思います。だって、体にとって100%良いものだけを摂取するなんて現代社会では不可能なんですから。このようなデータを紹介してはいますが、この文章を読んで牛乳を避けよう!とするよりも、もっと他に避けなければならないものは沢山ありますよね、、、。油が多い肉とか、揚げ物とか、、、。

尚、小児のデータは今のところ大規模なものはなく、影響は不明です。子供が牛乳が好きな場合は摂取させても全く問題ありません。