今週日曜日はお休みを頂いて、神戸へ講演会の講師として出張しています。

7月9日は、神戸へ 『Mepolizumab Clinical Experience Forum for Severe Asthma』という講演会に登壇するために出張しております。全国の呼吸器専門医の先生へ向けた千人規模の全国講演会です。このような機会を年何回も頂ける非常に恵まれた立場に身を置けることに感謝しながら、三浦発の重症喘息治療のノウハウを全国の先生方に届け、『喘息でお亡くなりになる方』『喘息のコントロールがつかず、苦しい毎日を送っている方』を一人でも減らす事を目標にこの活動を続けております。

今回、私が患者さんの診療を行うときに心がけている事。について書いて見たいと思います。

このスライド、ただの森の絵ではありません。なにを表しているかというと、患者さんと医師の病気に対する視点の違いを示しています。上の絵は、何らかの病気と診断された時の患者さんの視点を表しています。『目の前にある光景はどのような場所で、どっちの方向に歩けば街があるか?』と質問すれば、『目の前に、木が並んでいてその先に光が差してそうな場所があるのは分かるが、今自分がどこにいるのか分からないし、どっちに進めばいいのかも分からない』と答えると思います。一方で、医師の視点はと言えば、下の絵です。上空から周囲の景色と共に森全体を見ている視点です。患者さんは『目の前の木々』つまり喘息で言えば、症状があるかないか・治療・手間・医療コストなどに目が行きがちですが、医師は、その点を踏まえてさらに先のこと、『森を進んだ先にあるもの、つまり患者さんの未来』を見据えているのです。医師は森を南の方向に歩いて2km進んだ所に道路があり、その道路を西方向に3km進めば街がある事を知っています。つまり医師は目の前の木々や草花に目が行きがちな患者さんと共に森の中を歩き、どの方向に進めば患者さんが求める理想の未来が待っているのかをキチンと示し続ける必要があるのです。時に一緒に歩こうとする事を拒絶されたりすることもありますが諦めずに外来で話を続けることが大切なのです。医学を学び始めてから20年以上も立つと、キチンとした医療を受けないと患者さんが今後どうなって行くのかがほぼ読めてしまうのです。(これは、私だからという訳ではなく、臨床医はほぼ同じように、経験の中で自然と獲得できる能力です)だからこそ、時に厳しい事も外来で思わず言ってしまったり、患者さんによっては冷たく聞こえたりするかもしれません。(大体後で、言い過ぎたなーと反省していますが、、。)

日本人の理想とする老後(将来)はきっと『身の回りのことをできる限りなるべく自分で行い、時々旅行に行ったり、年1回の同窓会ではしゃいでみたり、孫の誕生日や七五三をみんなで祝ったり、孫のクリスマスプレゼントを一緒に買いに行ったり、そんな日常をできる限り長く続けていく!』ではないでしょうか。でもね、そのような理想的な将来は、病気とよほど縁遠い人か、キチンとした医療を受けている人に限ると言う事を忘れてはいけません。それは喘息治療に限らず、糖尿病・高血圧・脂質異常などの生活習慣病にも同じことが言えます。私は患者さんをいい方向(理想の将来)に導くための道先案内人として、これからも出来るだけ長く頑張っていきたいなと思っています。

話は少し変わりますが、長く仕事をしていくために、懲りずにまたダイエット始めています。外来でほめてくれるともっときっとがんばれます、、、。