スギ花粉症の症状が爆発している皆様へ!

今週はコロナ記事ではなく、スギ花粉症についてお話をさせて頂きますね。

スギ花粉症は過去10年で最大の飛散量、観測史上第4位になると予想されています。

スギ花粉症は、主に、鼻汁・鼻づまり・くしゃみ・目の痒み及び充血、咳、頭痛、皮膚炎(痒み・赤み)など多くの厄介な症状を引き起こして参ります。

基本的には抗アレルギー剤であるH1ブロッカー(エイチワンブロッカー)やLTRA(エルティーアールエー)と言われている抗アレルギー剤と点鼻・点眼を組み合わせて治療を行います。当院では今年は飛散量が多いことを受けてH1ブロッカー+LTRAの併用療法を基本としております。そして当院ではなんと言っても一撃必殺のゾレア療法という治療を行なっております。順に見ていきますね。

抗アレルギー剤;いわゆる抗ア剤と我々が読んでいるものです。H1ブロッカーとLTRAに分かれます。H1ブロッカーは第一世代から第三世代に分けられます。第一世代は旧来の治療薬であり効果を追求した代わりに眠気などの副作用も強いという特徴があります。ポララミン(ジェネリックの商品名はd-クロルフェニラミンマレイン酸塩)、アタラックス、レスタミンなどがこれにあたります。第二世代はザジテン(ケトチフェン)、セルテクト(オキサトミド)、アレグラ(フェキソフェナジン)、アレジオン(エピナスチン)、クラリチン(ロラタジン)、タリオン(ベポタスチン)など。第三世代は現在複数種類上市されていますが、眠気もほぼなく運転制限が付かない上に有効性が高い、ビラノアやデザレックスがあり、花粉症治療の主流となっています。子供たちは第二世代のアレグラ(フェキソフェナジン)やザイザル(レボセチリジン)が安全性も高く使用される事が多くなっています。LTRAは喘息治療の薬でもありますが、鼻水・鼻詰まりにH1ブロッカーと組み合わせることで良く効きます!

参考:運転制限がない抗アレルギー剤:アレグラ(フェキソフェナジン)、クラリチン(ロラタジン)、デザレックス(デスロラタジン)、ビラノア(ビラスチン)

ゾレアとは重症喘息や重症蕁麻疹に適応がある注射製剤です。3年前にスギ花粉症にも適応が通り、重症の患者さんに使用されています。ゾレアは生物学的製剤というものに分類されます。生物学的製剤と聞くとものものしい薬のように思われる方も多いかと思いますが、基本的に大きな副作用はほぼなく、注射部位反応と言って注射部位が少し腫れる程度の軽度の副反応が見られるくらいです。そして副反応がほとんどない薬剤にも関わらず、薬の効果は非常に高く、極めて優秀な薬剤です。当院はゾレアのみならず、取り扱っている生物学的製剤はその他にヌーカラ、デュピクセント、テゼスパイアがあり、月50症例程度の投与実績を有している全国的に見ても非常に症例数が多いクリニックになります。なお、2−4月期だけを見ますと、スギ花粉症の症例が増加することが要因で月100症例程度の投与実績があります。花粉症で苦しんでいる方、興味がある方はぜひ当院にご相談下さい。なお、スギ花粉症は舌下免疫療法という体質改善治療を行うことでその症状を軽減することも可能です。今年は6月から開始予定ですので興味がある方は一度受診相談をしてくださいね!

ちなみに余談ですが、花粉症の注射といえば以前はケナコルトの注射を指していました。しかし、ケナコルトってなんだか知っていますか?それは強力な免疫抑制剤であるステロイドです。ステロイドは、投与経路によって2つに分けることができます。局所投与と全身投与です。局所投与の代表格は喘息やCOPDで用いられる吸入ステロイド、アトピーや湿疹治療で用いられる軟膏、点眼、点鼻などがそれにあたります。局所投与は有効性を極限まで高めているにも関わらず、ステロイドの副作用を限りなく低く抑えていることがポイントです。医師の指示通りに服用していれば基本的に大きな副作用は起こさず、極めて安全に使えるのです。一方で全身投与の方法は経口投与・点滴投与・筋中投与などが挙げられます。こちらは基本的に副反応が出て当たり前の投与方法になります。当院でも、喘息発作、COPD急性増悪、サルコイドーシス、間質性肺炎などで全身投与を行うことがありますが、必要最低限の投与量・投与期間にとどめ副反応マネージメントを徹底して行い管理していきます。何が言いたいかというと、命に関わるような状態・病気の人でステロイドを使わざるを得ない状態の人にのみ限定してステイドの全身投与を行うようにしなくてはならないのです。つまり、花粉症の治療でステロイドの全身投与を行うのは極めておかしな行為になるのです。今時、花粉症の治療をケナコルトで行なっている病院なんで全国的にもほとんどないとは思いますが、稀にそして未だに患者さんから伺うことがあります。

これだけは絶対に知っておいて欲しいのは、花粉症の治療でケナコルトを使用することはあってはならないことです!そんな古来の治療は絶対にやめてください!

※アレルギー薬の世代の分け方はいくつかある様で、最も一般的なものを記載する事にしました。最初のリリースから改変しています。