新型コロナ感染症後遺症について、第63回日本呼吸器学会学術講演会で2023/4/28に報告されました。新型コロナ後遺症の1年以上長引く呼吸困難の主要原因は何か?

2023年4月28日から30日まで開催されている、日本呼吸器学会学術講演会で新型コロナウィルス感染の後遺症に関するデータが報告されましたので、専門的すぎない触りの部分だけお話したいと思います。

中等症以上のコロナ感染患者を対象に後遺症を調べています。その中で非常に興味深いデータとして1年後に呼吸困難を自ら訴えている患者は、感染者全体の26.2%でしたがその内、実際の診療で用いられる呼吸困難の重症度分類にあてはまめると、日常生活に問題を生じる呼吸困難があった患者は26.2%中の23.4%、つまり感染者全体の6%程度であった事が判明しました。また、呼吸困難を訴えている患者の特徴として様々な要因が検討されましたが、有意差(臨床的に意味がある)が認められたものは『抑うつ』のみという結果でした。

ワクチン接種を行っている人にとっては、ウィルスが変異を繰り返している事もあり、明らかに軽症化しつつあると考えられます。(ワクチン未接種者は重症化する可能性が高いことには変わりありません。)ここまで来ると、『感染してしまった!』という精神的ダメージの方が身体的ダメージより重症化・長期化するのだろうと思います。(あくまで精神的に繊細な人のみだとは思いますが、、、。)もうすぐ第5類に変更になります。大きな感染の波になる!と言っている先生もいますし、ワクチン接種者と既感染者の増加に伴い大きな波になることはない!と言っている先生もいます。正直どちらが正解なんて現時点で誰もわからないのでは?と思います。ワイドショーで言い争いするだけ無駄な時間です。

色々な意見があるのは十分理解できますが、呼吸器の専門家としては、5月以降も人混みではマスクをつけるくらいはしてもいいのでは?と思っています。マスクなんて絶対しないとかマスクを常にし続けるとかいうことではなく、柔軟に対応してくださいね。少なくとも人混みでは着用するくらいはしてくださいね。

院内ではマスク着用の継続を引き続きお願いいたします。