悪性黒色腫に対するmRNA個別化癌ワクチンの有効性が確認されました。

 米国の癌学会(American Association for Cancer Research 2023年4月16日)で悪性黒色腫という皮膚癌に対するメルク・モデルナ製のmRNA個別化癌ワクチンの有効性が確認されたと報告されました。

Ⅲb期以上の手術後進行悪性黒色腫に対してキートルーダ点滴単独群(50人) VS キートルーダ点滴+mRNA癌(107人)ワクチン(筋肉注射)の無再発生存期間を比較しています。再発または死亡は、併用群で 107 例中 24 例 (22.4%)、単独治療群で50例中20例(40%)で報告され、追跡期間の中央値はそれぞれ101週間と105週間でした。18 か月の無再発生存期間率は、併用療法群と単独治療群でそれぞれ 78.6% 対 62.2%でした。この併用療法は、キートルーダ単独群と比較して有意に無再発生存期間の改善を示し、再発または死亡のリスクを44%減少させました。

また有害事象(いわゆる副作用)はほぼ軽症のもの(通常の抗がん剤で認められるような軽症のもの)しかなく安全性も確認されています。

以前のブログでも書きましたが、新型コロナワクチンに利用さえれているmRNAの技術はそもそも抗癌剤として使用できないかと20年以上前から研究が行われていた技術です。今回、その研究の成果がついに認められた事に医学の進歩を感じています。

ワクチン忌避の方々は、もし将来自身が癌になった時、mRNA癌ワクチンが実臨床で使用可能となっていたとしても治療拒否をするのでしょうか、、、。

高齢者やハイリスク患者さんへのコロナワクチン接種が5月から再開されます。対象となっている患者さんで不安がある方は外来でお尋ねくださいね!