ワクチン接種なしでは、オミクロン感染によって得られる他の変異株に対する免疫応答は限定的である

9月22日(木)午前は休診です。お間違いのないようにご注意ください。10月20日(木)全日休診(予定)となります。今秋、今冬は月1回程度の臨時休診が入ってしまいご迷惑をお掛けいたします。

さて、ネイチャー(Nature:英国科学雑誌)に今年の7月に掲載された、ワクチン未接種者が新型コロナのオミクロン株に感染した場合、どれくらいの免疫(抗体)ができるのかを検証した論文をご紹介します。ヒトACE2受容体(コロナが気道内に入り込んだときに気道のACE2受容体というところにくっつきそこから侵入し体内に入り込み感染が成立します。)を過剰発現するマウスにオミクロン株を感染させた場合に得られる抗体は、オミクロン株の抗体はそれなりに産生していたが、オミクロン以外の既存の変異株に対する抗体産生は有意に少ない事が報告されました。

そして、同論文には、ヒトでも同様の所見が認められたと報告されました。つまり、ワクチン未接種者がオミクロンに感染した場合、オミクロン以外の既存の変異株に対する抗体産生は少ないという事です。また、ワクチン接種者がオミクロンに感染した場合は、今までのコロナ変異株全てに有意差をもって抗体が上昇することが確認されました。

言葉では分かりにくいので実際に図を見てみましょう。

下の図は実際の論文から引用したものです。図(a)を見ればわかるように、ワクチン未接種者がオミクロンに感染した場合、オミクロン以外の変異株の抗体産生があまり行われていない事が分かります。一方で(c)を見るとわかる通り、ワクチン接種者がオミクロンに感染した場合は、既存の変異株に対しても大量の抗体が産生されているのがわかります。

コロナは今後も変異を続けていくことは容易に想定されますよね。つまり、ワクチン接種者がコロナ感染した場合は、今後、出現するであろうコロナの新たな変異株にも効果がある抗体が産生されている可能性があるという事です。もちろん、抗体があるからと言って絶対に感染しない、重症化しないという事ではありませんがワクチン未接種者に比べれば、言わずもがなといったところでしょうか。

ワクチン接種をしていない方には様々なお考え・ご意見があるとは思いますが、ワクチン未接種者のオミクロン感染は、今後のコロナの変異に対応できる抗体産生に結びつかない可能性が高く、勿体無いということに是非気づいてほしいと思います。今一度ご検討頂ければと存じます。