• 2022年7月9日
  • 2022年11月22日

夏はやっぱりカレーでしょ!でも2日目のカレーはウェルシュ菌に注意!?

これからの季節に特に注意したい食中毒の原因菌であるウェルシュ菌について本日はお話させていただきたいと思います。

ウエルシュ菌による食中毒は、別名「給食病」とも呼ばれ、給食前日にカレーや煮込み料理等を大鍋で大量に調理し、室温で保管した調理後の食品が原因となることが多くあります。

ウェルシュ菌は外部からの攻撃に強いが増殖能力の低い芽胞型ウェルシュ菌と外部からの攻撃に滅法弱いが増殖能力が極めて高い栄養型ウェルシュ菌の2つのタイプに大別されます。芽胞型と栄養型のどちらも、多くの野菜や食肉に付着していると言われています。

ウエルシュ菌に汚染された食材を加熱調理した場合に、付着していた栄養型ウェルシュ菌は熱に弱いため死滅しますが、外部からの攻撃に強い芽胞型ウェルシュ菌は100度、1時間でも死滅しないのです。カレーなどを調理後に常温で保管した場合に、食品の温度帯が55℃以下になった時に一気に食品中に残存していた芽胞型ウェルシュ菌が、再び大量増殖できる栄養型ウェルシュ菌に変化し、急速に増殖してしまいます。

3時間以上、常温でそのまま放置されると、1gあたり数百万個にも到達します。

その状態で再加熱自体を行わなかったり、再加熱が甘かったりすると大量の栄養型ウェルシュ菌が食品内に残留してしまいます。大量のウェルシュ菌を摂取すると、胃酸で死滅しないで胃を通過してしまう現象が起き、消化管内に到達してしまいます。消化管内はウェルシュ菌にとって居心地が悪いため、外部からの攻撃に強い増殖型から芽胞型に変化しようとします。その変化する際に産生されるエンテロトキシンという毒素が腸管を傷害し下痢をもたらすというメカニズムです。

潜伏時間は約6~18時間です(平均10時間)。腹痛、下痢が主で、特に下腹部がはることが多く、症状としては食中毒の中では軽いほうですが、決して重症化しないわけではないため、他の食中毒同様、注意が必要です。

ウエルシュ菌の食中毒を予防するには、加熱調理後にすぐに食べる事が重要です。ただしどうしても作り置きがしなくてはならない場合は大鍋のままで冷蔵保存ではなく、小分けにして急速冷蔵することで菌の増殖を抑えることが求められます。

ウェルシュ菌は嫌気性といって、酸素を好まない菌の一種です。カレー煮込むとカレー内に含まれる空気が外に押し出されます。カレーは粘稠度が高いため空気が内部に再度溶け込むことがなく、嫌気状態(酸素がない状態)が維持されてしまいます。

本日はウェルシュ菌についてのお話をさせて頂きましたが、ウェルシュ菌に関わらず食中毒全般を予防するには、材料となる食べ物の保存状態・温度管理を徹底することや調理の際の十分な加熱を心がけてください。また、食事前の手洗いや手指消毒もポイントです。

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