• 2023年3月11日
  • 2023年3月12日

小児喘息から成人喘息の基礎を知ろう!

小児喘息は、3 〜5歳頃までに発症しますがその多くは、服薬や環境の変化、体格が大人に近づくことなどで思春期に寛解します。しかし寛解せずに思春期以降も治療が必要だったり、また寛解してから成人期に再燃することがあります。小児期に喘息と診断された場合、寛解したとしても安心せずに「喘息は一生もの」として考えていかなくはなりません。それは『寛解=治癒・完治』ではないからです。寛解とは薬を使わなくても症状が現れにくい状態が続くことを指しますが、アレルギー体質などの喘息素因は一生涯持続するため、成人後に喫煙を始めたり、動物を飼い始めたりなどのライフスタイルの変化によって『喘息が再燃』してくる訳です。

つまり喘息は、薬や体の成長、環境の整備などで症状をコントロールすることはできても「治癒・完治」させることはできません。よく患者さんに伝えるのは、喘息は症状があってもなくても喘息であり、一時的な病名ではありません。ということです。

例えば、高血圧で上の血圧が180の人がいたとします。病院で初めて降圧薬を処方されて1回飲んだところ、翌日に120まで下がりました。その人がこんな事を言い出したらどのように感じますか?

『血圧の薬を1回飲んだら120に下がったから高血圧治ったわ。もう今日から薬なんて飲まなくて平気だわ』

身近にこんな人がいたらどうします?『そうだね!』って同意しますか?99.9%の人は『何言ってんだ!』ってなりますよね。

喘息もね同じなんです。医師の指示下ではなく、症状が出た時だけ治療をするという事を繰り返していると喘息の症状が年々と重くなり、薬が効かなくなってくる現象がおきます。これを医学用語で気道リモデリングによる喘息の重症化と言います。リモデリングが起きると、薬の効きが悪くなりどんどん強い薬に変更していく事になります。

喘息治療の問題点として、症状に慣れてしまい、治療強化を拒む事がよくあります。また毎日の服薬をおろそかにする方もいます。そのような患者さんは重症化しやすくなり、小児の場合は寛解するはずが成人まで持ち越してしまうリスクにもつながります。

喘息のコントロールのために、医師の処方通りの毎日の服薬、原因となるアレルゲンを減らすための環境整備、そして喘息に対する正しい知識を持つことが何よりも大切です。

外来ではこの事を、しつこく何度でもお伝えしております。『また同じこと言ってるよあの人』と言われるのが目標です!

これは少し愚痴っぽくなりますが、喘息の初診時の検査は、胸部単純写真(レントゲン)や胸部CT画像検査によって喘息様の症状を来す心不全(心臓喘息)・肺癌・縦隔腫瘍・肺結核・気管支結核・再発性多発軟骨炎などの除外診断を成人の場合はほぼほぼ行う必要があります。小児の場合は鑑別すべき疾患が少ないため、必要な画像検査は胸部単純写真(レントゲン)であり余程じゃないと胸部CTまで撮像しません。また、喘息の診断・重症度判定の為の呼吸機能検査・呼気NO検査、そして喘息のタイプや重症化リスクを判断するためのアレルギー検査及び好酸球測定を一連の流れで行っていきます。小児の場合は勿論全額公費になりますが、成人の場合で特に3割負担の患者さんはコストが高くなる事があります。当院に通院してくださっている患者さんはご存知だとは思いますが、初期検査をした後は、安定していれば、呼気ガス検査や薬の副作用Checkのための採血、胸部単純写真(レントゲン)をたまーにやるくらいです。最近、コストについてグーグルコメントに書かれてしまいました、、、。私たちの意図することではない事を一方的に決めつけ、書き込みができるこのシステムには憤りを感じます。当院は必要な検査はやりますし、不必要な検査は基本的にやりません。色々思うことはありますが、全員が納得する医療提供をすることの難しさを痛感しています。私たちの医療を信頼してくださる患者様の為にも、めげずに誠心誠意診療に取り組んで参ります。

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