- 2024年3月23日
麻疹(はしか)のワクチンを接種していますか?今すぐ母子手帳で確認して下さい!
NEWSを見てご存知とは思いますが、麻疹の流行の懸念があります。
麻疹は予防接種が絶対必要な感染症の一つです。麻疹がどんな病気なのか、なぜ予防接種が必要なのかをみていきましょう。
麻疹ってなに?
麻疹は麻疹ウイルス感染後、10~12日間の潜伏期ののち発熱や咳などの症状で発症します。38℃前後の発熱が2~4日間続き、発熱、鼻汁、目やに、目の充血などが認められます。一旦37度前後に解熱傾向を認めますが、半日程度で再度39度以上になります。この頃から口腔内に白いぶつぶつが出現し、1−2日で全身に皮疹が広がります。特段、他の症状がなければ7−10日程度で治癒します。
なぜワクチン接種が必要なのか?
1:合併症がなければ10日前後で治癒すると書きましたが、発症者の多くは肺炎や中耳炎などを合併してしまい治癒が遷延します。そして1000人に1人の確率で脳炎を合併します。肺炎と脳炎を合わせると1000人に1人の確率で死亡します。
2:一旦治癒したようにみえて、5から10年ほど経った後に亜急性硬化性全脳炎(SSPE)という恐ろしい病気になってしまいます。学童期に発症する事が多く、全体の80%を占めています。発症するまでの間は普通に過ごせるのですが、突然に日常生活に支障がではじめ、以後進行性に悪化していきます。SSPEを発症するのは数万人に1人程度で、男児にやや多いとされています。発症すると、簡単な動作や簡単な計算などができなくなるといった症状で気付かれることが多いです。例えば、テストの成績が悪くなる、体育などで転倒しやすくなったり、簡単な指示動作が出来なくなる、歩行すらふらつくようになる、しゃべり方もつたなくなる、全身に力が入りにくいなどです。治療法が確立されておらず、残酷にも進行して行きます。知的障害や運動障害が進行し寝たきりになり、食事摂取も一人では困難になります。体温調節すら出来なくなり、最終的には自発運動の消失、意識消失、そして発症から平均6~9カ月で死亡します。
3:麻疹は空気感染です。感染力は極めて強く、麻疹に対する免疫を持っていない人が、感染している人に接すると、ほぼ100%感染します。そして感染した90%以上の人が発症します。
4:マスクなどの標準予防が意味をなさないので、予防接種を行い免疫をつけるしか防ぐ方法がありません。
ワクチンについて
1:2回接種法が日本では採用されています。1回の接種でも95%以上の人が十分な免疫を獲得しますが、残りの5%の人は十分な免疫を獲得できないと言われています。今回のように麻疹の流行があると、その中の5%が発症する可能性があると言われています。そのため、より確実に免疫を持ってもらうために2回接種法が採用されています。2回とも接種すると99%以上の確率で免疫を獲得することができます。
2:麻疹を発症した人は、通常は生涯にわたる免疫、いわゆる終生免疫が獲得され、再び麻疹を発症することは極めて稀であり、ワクチン接種の必要はありません。ただし、0歳児で発症した場合は、免疫が十分に維持できない事があるので、接種を検討して下さい。
3:予防接種法に基づく定期予防接種は、1歳児(第一期)および5歳以上7歳未満で小学校入学前1年間の者(第二期)の2回接種を行うことになっています。
4:年齢によってワクチンの接種が行われていない可能性があるため下の表で確認して下さい。※日本プライマリ・ケア連合学会 こどもとおとなのワクチンサイトより引用
注意事項
1麻疹のワクチンがすでに足りません。当院での追加接種はR6年3月23日現在できません。
2:麻疹の感染の可能性がある場合は当院に限らず、どの医療機関への受診も、必ず電話にて事前のお問い合わせをして下さいね。いきなりの受診はダメです。