- 2025年3月23日
- 2025年4月27日
アナフィラキシーってなんだ?アナフィラキシーを判断するのはABC-Sがキーワード

アナフィラキシー(Anaphylaxis)とは、アレルギー反応の中でも特に重篤な全身性の過敏反応のことです。アレルゲン(特定の食べ物、薬、昆虫の毒など)に対して、急速に症状が進行し、生命を脅かす可能性があるのが特徴です。
主な原因
- 食べ物(ピーナッツ、甲殻類、卵、牛乳など)
- 薬(抗生物質、解熱鎮痛薬など)
- 昆虫の毒(ハチやアリの刺傷)
- ラテックス(ゴム製品など)
症状
数分~数時間以内に、以下のような複数の症状が同時に現れます。アナフィラキシーと診断するには?ABCD-Sが合言葉!
A:Air Way 上気道の狭窄 所見としては吸気時喘鳴!吸い込む時にゼーゼーしながら息をやっと吸っている様子。
B:Breathing 下気道の狭窄 所見としては、呼気時喘鳴!息を吐くときにピーという音がする。酸素モニターの値が下がり始める。
C:Circulation 血圧が下がります。そして下がった血圧を代償するように頻脈になります。よく言われているのは上の血圧より脈が高くなったらアブない!です。例えば、血圧89/60、心拍数120は完全にアウトになるわけです。あまりにも血圧が下がると失神を起こします。アナフィラキシーで失神している可能性がある人を見たら、決して体を起こしてはいけません。血圧低下によって脳への血流が下がっているため、頭を起こすと致命的になる可能性があります。ただし、呼吸状態が悪いと体を起こさなくてはならず、慎重な判断が求められます。
D:Diarrehea 何らかの消化器症状 嘔気、嘔吐、下痢、腹痛が出る事があります。
S:Skin わかりやすい皮膚所見として蕁麻疹がありますが、蕁麻疹タイプではなく体が真っ赤になるだけの紅斑のこともあります。そして、顔が腫れている(まぶたや唇)などの所見も重要。普段と比べてどうか?という事が大事です。
ABCDのいずれか+Sでアナフィラキシーと判断する事になります。
注意:skinは必須要件ではありません。Sがあればより可能性が高いということになります。
対処法
アナフィラキシーは迅速な対応が必要です。
- 医療機関であればすぐにエピネフリンを筋中します。元々、食物アレルギーなどの診断を受けて自己注射薬(エピペン)を処方されているケースは、直ぐに自身あるいは家族、あるいは救急隊が注射を行います。(地域によって救急隊が投与できるかどうか異なります。)
- 必ず救急車を呼んでください。自己注射を行なって回復したとしても必ず病院受診が必要です。
- 必要に応じて追加のエピネフリン投与を病院で医師の指示のもと行います。また、入院で経過観察を行う場合があります。
文責:医療法人社団南州会 理事長 井上哲兵
経歴
- 2003年浅野高校卒業
- 2009年聖マリアンナ医科大学医学部卒業
- 2009年4月~2011年3月同大学病院研修医
- 2011年4月~2015年3月同大学呼吸器内科診療助手兼同大学内科(呼吸器)大学院
- 2015年4月~2018年3月同大学呼吸器内科助教
- 2018年4月~2019年3月独立行政法人国立病院機構静岡医療センター呼吸器内科医長
- 2019年4月医療法人社団南州会理事長/聖マリアンナ医科大学非常勤講師
- 2019年8月三浦メディカルクリニック院長
- 2024年5月横浜フロントクリニック開院
資格・役職
- 医学博士
- 日本内科学会認定内科医
- 日本呼吸器学会呼吸器専門医
- 日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医
- 日本医師会認定産業医
- 厚生労働省認定臨床研修指導医
- 身体障害者福祉法第15条指定医(呼吸器)
- 難病法における難病指定医(呼吸器)
- 緩和ケア研修会修了医
- アレルギー舌下免疫療法適正使用管理体制に基づく講義の受講・試験の修了医