- 2025年5月31日
- 2025年6月1日
赤ちゃんにK2シロップを飲ませない人が増えている?!

最近、横浜院のインスタグラムを活発に更新しており、インスタを見る機会が増えたのですが、その時にびっくりするような内容の発信がありました。『K2シロップは添加物だらけだから赤ちゃんに投与するのは危険!』というものでした。イヤイヤ、勘弁してください。あまりにも驚きすぎて顎と腰が3回くらい抜け落ちました。ではなぜ、生後すぐの赤ちゃんにK2シロップが必要なのでしょうか。
妊娠中のお母さんの血液中にあるビタミンKは胎盤を通って胎児に移行する量が少なく、出産後の母乳にも少量しか含まれていません。また産まれたばかりの赤ちゃんは腸内細菌が発達しておらず、自分の体でビタミンK2をつくれないことから、1万人に1人の確率で乳児ビタミンK欠乏性出血を起こすことが報告されています。産まれてから数日以内に血を吐いたり下血をしたり、3か月までに脳出血したりする確率をより確実に下げる必要があるのです。
そこで乳児ビタミンK欠乏性出血を減らすために、1985年以降から赤ちゃんが産まれてすぐにビタミンK2シロップを飲ませるようになったのです。最近まで「3回法」が主流でした。これにより、ほとんどの赤ちゃんは乳児ビタミンK欠乏性出血を予防できていたのですが、ごく稀に3回法でも重篤な出血を起こすことが報告されたことから、現在では生後3ヶ月になるまで週に1回、計13回飲む「3ヶ月法」が推奨されています。
飲ませなかったからといって乳児ビタミンK欠乏性出血を必ず起こす訳でもありませんが、内服させればかなりの確率で予防できる疾患です。起こしてから後悔しても遅いです。命は戻ってはきません。意味がわからないSNSの投稿やインフルエンサー気取りの発信者に左右されずにかかりつけのDr.の事を信じて内服をさせてくださいね。
※この画像は生成AIを用いて作成しておりますが、何度も指示を出し直してはいましたが、実際の投与の状況をうまく再現できませんでした。実際は1回使い切りの個包装です。
文責:医療法人社団南州会 理事長 井上哲兵
経歴
2009年聖マリアンナ医科大学医学部卒業後、同大学研修医、同大学呼吸器内科、国立病院機構静岡医療センターにて研鑽を積み、2019年4月医療法人社団南州会理事長就任。同年8月三浦メディカルクリニック開院。2024年5月横浜フロントクリニック開院。
資格・役職
医学博士・日本内科学会認定内科医・日本呼吸器学会呼吸器専門医・日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医
日本医師会認定産業医・厚生労働省認定臨床研修指導医・身体障害者福祉法第15条指定医(呼吸器)
難病法における難病指定医(呼吸器)・緩和ケア研修会修了医