• 2025年6月9日
  • 2025年6月11日

高血圧の治療を始めるとずっと薬を飲まなくてはいけないから飲みたくありません?!は正しい意見なのか?

外来をしていると治療が必要な方に血圧の薬を始めた方がいいですよ!とお伝えすると100回に90回くらいの確率で『高血圧の治療を始めるとずっと薬を飲まなくてはいけないから飲みたくありません』と言われます。

そんな方に是非お伝えしたいのです。

血圧の薬は確かに体質などで中止できない人もいますが、中止できないほとんどの理由は、生活習慣の改善が十分に出来ない(塩分・食事制限や運動を継続)ことにあります。そもそも高血圧は生活習慣病と言われる病気です。塩分の取りすぎ、体重増加、運動不足の3つが主な原因です。薬を始めても、この3つの生活習慣を改善できれば中止出来ます。では、なぜ相談を受けたときに薬を開始しましょうとお伝えすることが多いのでしょうか。

1:血圧が改善できるくらい生活習慣を是正できる人はほとんどいない。

2:仮に生活習慣を正す事が継続できたとしても、血圧が正常まで下がり切るのに時間がかかる。

この2つですね。ほとんどの問題は1です。どのクリニックでも、高血圧にしろ糖尿病にしろ生活習慣をどのように改めるべきかを医師ないし看護師から説明されていると思います。しかし、実際にそれを完璧に実行できる人は、残念ながらほぼいません。多くの患者さんは、説明を受けてすぐは塩分制限ができたとしても、だんだん制限が緩くなってしまい元の状態まで戻らないにしても、十分な高血圧管理を行うにな不十分になってしまうのです。また、2の問題もあります。薬に頼らないで治すにはあまりにも時間がかかるのです。

初診の患者さんがちゃんと塩分制限などの自己管理ができる方かどうかは分かりません。医療従事者側としては、まず最初に薬を使いつつ十分な降圧を行い、患者さんの自己管理ができるかどうかを確認しつつ、可能ならば薬を減量していくのが最適解と考えているのです。

自己管理の継続ができれば、薬を中止することは決して難しいことではありません。

文責:医療法人社団南州会 理事長 井上哲兵
経歴
2009年聖マリアンナ医科大学医学部卒業後、同大学研修医、同大学呼吸器内科、国立病院機構静岡医療センターにて研鑽を積み、2019年4月医療法人社団南州会理事長就任。同年8月三浦メディカルクリニック開院。2024年5月横浜フロントクリニック開院。
資格・役職
医学博士・日本内科学会認定内科医・日本呼吸器学会呼吸器専門医・日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医
日本医師会認定産業医・厚生労働省認定臨床研修指導医・身体障害者福祉法第15条指定医(呼吸器)
難病法における難病指定医(呼吸器)・緩和ケア研修会修了医


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