変異株に対するコロナワクチンの効果は?

5月16日のLINE配信記事です。

今週は土曜日午後外来が柿沼先生になります。宜しくお願いします。

NEJM(英国有力医学誌)に報告されたカタールの研究データ(しっかりとした論文ではなくレター扱い(有用性が高いデータの為、簡易的な統計解析のみで出される速報のこと))を今週は共有したいと思います。カタールは日本より遥かにワクチン接種が進んでいる国の一つです。カタールで流行しているのは南アフリカ変異株及び英国型変異株であり、それぞれの変異株に対するファイザー製ワクチンの効果を評価しています。結果として2回目の接種から14日以上経過した時点で、英国型に対するワクチンの有効率は89.5%、南アフリカ型は75.0%でした。また、重症化及び死亡の予防効果は97.4%と非常に高い結果となりました。

やはり、ファイザー製ワクチンは有効率も高いですが、特筆すべきは重症化予防効果です。
少し古いデータで恐縮ですが、本年1月6日時点の厚生労働省発表の80歳以上の死亡率はなんと12.3%、内訳は男性は死亡率17%、女性は9.5%です。ワクチンでこれらを大幅に下げることが可能であるということです。

※有効率89.5%とは、100人が接種したら89.5人が発症しなかったという意味ではありません。
非接種者と比較して接種者の発病リスクが89.5%減少した、また非接種者で発病した者のうち、89.5%は接種していれば発病しなかったという意味です。

5/14の入院患者数
重症:50名 中等症:430名 軽症:51名 疑似症:317名 
5/7の入院患者数
重症:50名 中等症:388名 軽症:51名 疑似症:314名 

→中等症が急増しています。引き続き感染対策をご注意ください。