• 2022年5月1日

小児急性肝炎について今わかっていること。

日本国内で現在のところ3例の報告がありました、小児急性肝炎について解説いたします。

英国が最も多く、2022年4月20日までに111人の患者が報告されています。またヨーロッパ各国から約60人の患者が報告されています。

英国で確認された患者は、54.4%が女児で3歳から5歳(65.4%)が最も多く、年齢の中央値は3歳との結果でした。中央値とは平均値と違って、100名の患者がいたら50番目の患者が何歳だったかという意味です。患者の背景における共通項はほとんどありませんでした。

症状は嘔気(39.5%)、嘔吐(73%)、下痢(49%)がまず最初に認められ、その後、白色便(58%)、黄疸(74%)が認められるケースが多かったようです。

下痢が続く場合は要注意で、便の色や黄疸に注意してくださいね。黄疸は皮膚が黄色くなる症状で、わかりやすいのは、目の中の白いところ(白目)が黄色くなってきます。また、黄疸が進行するにあたって、皮膚が痒くなったりしますので合わせて注意して観察してくださいね。病院を受診して採血を行えば十中八九、肝炎かどうかの診断がつきます。(AST・ALTという肝臓の機能をみる項目が3桁になるようです。)目の中が黄色くなったらすぐに病院受診をさせてくださいね。ご家族からみて黄疸などを疑った場合は、初めから小児専門医がいる総合病院を受診されることをお勧めします。

また、感染症が原因では?との報道がありますが、正確な因果関係は今の所ハッキリしていません。しかし、患者の75%程度からアデノウィルスが検出されており可能性として高いのではないかと見られています。アデノウィルスは60種類以上に細かく分類されており、目に感染すれば流行性角結膜炎に、また喉であれば咽頭炎(プール熱)に、お腹であれば胃腸炎になる原因ウィルスです。患者の多くは免疫疾患を持っている小児での報告ですが、基礎疾患がない児童の報告もあります。アデノウィルスによる感染が原因だとすると、厄介なのはアルコール抵抗性があることです。アデノウィルス感染はほとんど接触感染のため(飛沫もありえます)、手を洗わないで顔を触ることで感染が成立します。外で鼻をほじったり、手を洗わずに食べ物を手で掴んで食べたり、口の中に手を入れたりすることを、子供に止めるように都度注意していくしか今の所できません。(聞くかどうかは別問題にはなりますが、、、。)

まだまだ詳細がわからないので、続報が入り次第まとめて行きたいと思います。

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