• 2022年10月30日
  • 2022年11月22日

2022年8月超過死亡が激増したとSNSで騒がれている件について

2022年8月の死亡者数が前年比に対して激増した!

これはコロナワクチンの接種と関係している!コロナワクチンを接種すればするほど死亡者が増えたのではないか!?

とSNSで話題になったのをご存知でしょうか。

しかしほぼ同時期の2022年10月20日、東京慈恵会医科大学の分子疫学研究部浦島充佳教授らが、世界保健機関(WHO)が算出した160カ国の2020~21年の超過死亡率と、「国民の平均余命」「21年末時点での新型コロナワクチンの2回接種率」「国民1人当たりの国内総生産(GDP)」などコロナ流行前の経済や健康についての50の指標との相関を調べ、研究報告を行ないました。

浦島充佳教授らによれば、各国のコロナ禍での死亡率の変動とコロナ禍以前の健康医療や社会経済指標との相関を調査し、コロナ禍前の60歳平均余命(60歳の人があと何年生きられるかの平均値)がコロナ禍超過死亡率(新型コロナのパンデミックが発生しなかったときに予想される死亡率とコロナ禍で実際に記録された全ての原因による死亡率との差)に最も強く相関する。

日本は世界一の高齢者大国であり、また新型コロナは高齢者で特に死亡リスクが高いことが知られています。このことから日本ではコロナ禍における死亡率が高くなることが予想されましたが、実際には諸外国と比較しても死亡率の増加が最も少ない国の一つとなりました。

と報告しています。

分かり難い箇所もあるため噛み砕くと、

1)コロナの影響で超過死亡は確かに増えたが、予想されていた超過死亡よりはるかに低かった。

2)日本と同じように高齢化が問題となっている諸外国(欧米諸国、ロシアを含む旧ソビエト連邦、東欧諸国、日本、韓国などの 40 か国)と比較し、圧倒的に死亡者数を低く抑えることに成功した。

3)60歳平均余命(60歳の人があと何年生きられるかの平均値)が長った事が相関係数ー0.91と極めて高い相関関係が認められた。(コロナ流行前から日本の医療レベルが元々高く60歳平均余命が長かった。)

相関関係が強く見られたものを順番に見ていきます。

①60歳平均余命 (相関係数-0.91)

②2021 年末までの累積ワクチン 2 回接種率 (相関係数-0.82)

→ワクチン接種率が高い国ほど超過死亡率が低いという予測可能な結果ながら、ワクチン接種により大勢の命が救われたことが示されていると報告されています。

③2016年の国民 1 人当たりの GDP (相関係数=‐0.78)

→豊かな国ほど平時より医療の恩恵を受けており災害時においても強いという事。

なお、②と③は多変量解析(複数の変数に関するデータをもとに、これらの変数間の相互関連を分析する統計的技法の総称)によって有意性が失われてしまったようですが、その要因として①の交絡因子(こうらくいんし:疫学調査において、調査しようとする因子以外で、結果に影響を与える因子を交絡因子という。)になっているためと結論づけています。

まとめると、

1)日本の超過死亡が前年比で増加することは予想されていたが、ワクチン接種率が高かったこと(特に高齢者)、平時より健康に気を遣う人(特に高齢者)が多かったことが要因で諸外国よりかなり低く抑えることに成功した。

2)SNSの8月の超過死亡増加の原因=コロナワクチンの接種が原因!ワクチンを接種すると死亡率が上昇する! というのは明らかに誤り。むしろワクチン接種によって諸外国に比べても明らかに死亡率を低く抑えることに成功している。

以上になりまーす

※相関係数: −1から1までの間の数字で表される。−1や1に近い数字ほど相関関係が強かったと解釈されます。

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