- 2020年2月17日
新型コロナウィルス感染症と喘息〜もし喘息患者がコロナに感染したら〜
日本アレルギー学会からコロナ感染症と気管支喘息についてのQ &Aが出されましたので、皆様と要点を抜粋しながら共有したいと思います。
1)気管支喘息は重症化のリスク因子となりますか?
(答)一般的なコロナウイルスでも感冒症状を引き起こすこと、また新型コロナウ イルス感染症では肺炎を生じていることから、気管支喘息患者が新型コロナウイルス感染症に罹患した場合も喘息増悪をきたし、それに伴って呼吸不全が重 症化する危険性が考えられます。
また、経口ステロイド薬の長期投与は、WHO の勧告に記載さ れている通り、ウイルス感染の遷延や二次的細菌感染症などのリスク因子とな り得るため必要最低限に留め、吸入ステロイド薬の増量や抗体医薬併用などによる喘息コントロールをはかるべきです。
2)気管支喘息患者で感染前にどのような対応が必要ですか?
気道炎症が存在する状態でウイルス感染による気管支炎が生じると、重症化するリスクが高いと考えられます。 従って、気管支喘息患者では気道炎症を抑えるために、吸入ステロイド薬等の長 期管理薬による日頃からのコントロールが重要です。
3)気管支喘息患者が新型コロナウイルス感染症に罹患してしまった場合、気管支喘息の治療はどうしたらよいでしょうか?
一般的なウイルス感染症による気管支喘息の急性増悪(発作)時では、 通常の発作時治療に準じて治療をしています。喘息治療の差し控えは喘息発作 およびその重症化をきたす危険性が高いため、新型コロナウイルス感染症の罹 患時も、通常の安定期・発作時の喘息の治療に準じて治療を行うべきであると考 えます。ただし前述の通り全身ステロイド薬(経口・静注)の投与は必要最低限 に留めるべきです。
4)気管支喘息患者の治療において注意するべき薬はなんですか?
気管支喘息では気管支収縮作用のあるβ遮断薬(非選択的、β1 選択的) や、喘息発作の際に、喀痰の排泄を止めてしまう中枢性鎮咳薬などは禁忌です。 また、成人の 5-10%に見られるアスピリン喘息の患者では、非ステロイド性抗炎 症薬(NSAIDs)を使用した場合に、急性増悪(発作)を誘発します。解熱鎮痛薬 を使用する際にはアスピリン喘息の既往については必ず医師に申し出をしてください。