患者さんの将来を守るために医師としてどうあるべきか。

おはようございます。

人は必ず年を取ります。時間の流れは米国大統領も日本の首相も、生まれたばかりの赤ちゃんでさえも、そしてこのブログを書いている私や、読んでいるあなたにも平等です。

医師という仕事は大きく2つに分ける事ができます。患者さんの現在の病気・辛い症状を治すことと、将来の生活を守ること。この2つです。

『患者さんの現在の病気や辛い症状を治す』というのは急性期疾患の治療を指します。例えば、肺炎になったり、心筋梗塞になったり、喘息やCOPDの発作で苦しい人に対して適切な治療を行う医療です。この医療は患者さんにとても感謝され医師としてもやりがいがあり、『医療してるぜ!』という気持ちになります。イメージ的には救急救命センターのDr.がこれに当たります。

一方で『将来の生活を守ること!』と言うのは、慢性疾患の治療を指します。呼吸器内科の分野で言えば、症状や検査結果が安定している喘息やCOPD、間質性肺炎の日常管理です。一般内科の生活習慣病で言えば高血圧、糖尿病、脂質異常症などがこれにあたります。はっきり言ってこの慢性疾患の管理は患者さんに嫌われる事があります。慢性疾患の安定期は自覚症状がないので、治療をサボってしまう人が多いのです。時に外来で、かなりキツく言うことがあります。患者さんによっては、脅されて無理やり治療を受けさせようとしていると捉えてしまう人もいます。でも、ハッキリ言って私は患者さんにそれで嫌われてもいいなと思っています。嫌われても、目の前にいる患者さんの必ず訪れる将来(5年後、10年後、20年後、30年後)が守られるのであれば、喜んで嫌われます。当院で治療を受けなくてもいいです。心に少しでも響いてくれて、ささってくれて、他院を受診し治療を継続するキッカケになってくれればそれでいいです。

医師を長くしていると患者さんの将来がどうしても見えてしまいます。呼吸器の疾患は慢性疾患であっても進行性です。喘息やCOPDは適切な治療を続けないと進行していってしまうのです。このまま行くとこの患者さんは将来もっと薬を増やさなければならなくなる!将来酸素が必要になる!などなど。

私は、今ある症状を治す事も勿論大切ですが、患者さんの必ず訪れる将来を守るための治療をする事も同じくらいか、むしろそれ以上に大切だと思い日々の診療を行っています。嫌な気持ちになってしまった方がいらっしゃったらそれは申し訳なく思いますが、私の真意はここに書いた通りです。