- 2023年4月30日
- 2023年5月13日
タバコや新型タバコ(加熱式タバコ・電子タバコ)を今一度考える。
みなさん、電子タバコって無害だと思ってはいませんか?
アイコスのパンフレットでは約90%有害物質の低下を宣伝していますがそれは真実なのでしょうか?まるで加熱式タバコは体へ悪影響がないように感じている方多いのです。
真実はただ単にタバコ臭さが減っただけで体への悪影響は減少していません。
加熱式タバコと紙巻きタバコの違いは火で燃えて煙を作るのか、熱を加えて煙を作るのかです。火を使わない加熱式タバコの方が一酸化炭素の産生量は有意に低い事が分かっていますが、一酸化炭素以外の有害物質であるタールなどはさほど差がありません。
また、ニコチンの量は1本あたりの喫煙のみを比較すると約2割程度血中濃度が低く抑えられますが、1本でのニコチン量が少ないことでそれを代償するように喫煙本数が紙巻きタバコより増えることが報告されています。したがってタールなどの一酸化炭素以外の有害物質が紙巻きを吸っている人より多くなるのです。どれくらい肺癌患者が増えてしまうのかと言った論文は出ていません。というか加熱式タバコが登場して数年しかないため、誰にもわからないのです。理論上、加熱式にしてから本数が増えている人は、肺癌に紙巻きの人よりもなりやすい可能性があると言う意見があるのも事実です。
また、紙巻きタバコの禁煙を外来で指示することが多いのですが、時々このようにおっしゃる方がいます。
『とりあえず紙巻きから加熱式タバコ(電子タバコ)に変えた!』
残念ながら紙巻きから加熱式タバコに変えると禁煙できなくなることが日本からの論文報告で証明されています。
また禁煙を指導すると、このようにおっしゃる方もいます。
『とりあえず本数は減らしている』
もうね、聞き飽きました。この言葉。私が医者になって15年が経とうとしていますが、何回聞いたかわかりません。基本的に1本でもダメなんです。
例えば心疾患があるような患者さんが喫煙していたとします。1日20本の人と1日5本の人は喫煙本数が4分の1になっていますが、心疾患を引き起こすリスクが4分の1になるかといえば答えはNoです。リスクは2分の1にもならないというのが答えです。本数が少ないに越したことはないですが、吸っている限りリスクの大幅な減少にはつながらないのです。なお、受動喫煙は1日0.2本程度の喫煙をしていることと同じと言われていますが、非喫煙者と比較して心疾患を引き起こすリスクは1.3倍、つまり30%UPになります。喫煙本数が少なくても喫煙をしているということが病気の発症を引き起こすという理解をして頂ければOKです。
また子供たちへの受動喫煙の事を指摘すると大体このように言います。
『子供たちの前では吸わない』『家の中では吸わない』『換気扇の下で吸う』
でもね、これ本当にダメなんです。意味がないんです。喫煙をすると1時間以上にわたり呼気(吐く息)の中に有害物質が混ざり、まるでゴジラが火を吹くかのように有害物質を吐き続けるのです。また、手や衣服に着いた有害物質も大きな問題です。その有害物質が着いた手で、服で子供たちを抱っこしたとします。子供は抱っこされると親の衣服に顔を埋めます。抱っこ紐を使った抱っこなんて最悪です。服に着いた高濃度の有害物質をフィルターも通す事なく子供たちは吸い込みます。吸い込み続けます。そして喫煙者の口元からゴジラのように吐き出し続ける有害物質を吸い込みます。吸い込み続けるのです。そのような環境下に置かれた子供たちは1日0.2本よりも確実に多い有害物質を日々吸い込みながら成長を強いられるのです。喫煙者がいる家庭で育った子供はアトピー性皮膚炎、喘息、慢性鼻炎、花粉症などの疾患を発症しやすくなったり、集中力の低下、学力の低下、そして最も恐ろしいのが新生児突然死症候群の発症です。子供は生育環境を選べません。子供ためにも、そして自分のためにも禁煙が大切です。
禁煙の極意はその内、記事にしますね。