アルコールは血圧を下げると言うのは本当か?
みなさん、一度は聞いたことがあると思います。『アルコールは血圧を下げる!』って。
『適度のお酒は健康に良い!』とも聞いたことはありませんか?それらは全て否定されているのをご存知でしょうか?今回、アルコールと血圧の関係についての最新の論文がThe American Journal of Medicine誌オンライン版2024年5月14日号に報告されましたのでご紹介します。
2003年11月25日~2015年4月28日に20〜100歳の10万4,467人が登録解析されました。
その結果、週当たりのアルコール総摂取量と血圧上昇は関係性が認められたのです。そうです。『アルコールは血圧を下げる!』は嘘だったのです。
アルコール摂取量が多いグループ(週 35 杯以上)と少ないグループ(週1~2杯)の間で、S上の血圧で11mmHg、下の血圧で7mmHgの差が認められました。
ちなみにアルコールの種類が血圧に与える影響についても解析されていますが、特段の差は認められませんでした。
まとめると赤ワイン、白ワイン、ビールの週当たり1杯の摂取で、上の血圧は0.15~0.17 、下の血圧は0.08~0.15 ほど高くなることが判明しました。
なぜ、アルコールを飲むと血圧が上がるのか?については言明されていませんが、お酒によって中性脂肪が増加し動脈硬化が進行することや、私的な意見としてにはなりますが、お酒飲むときに、みんな塩っ辛いものを食べ過ぎなのではないでしょうか。
ちなみに、なぜ『アルコールは血圧を下げる!』と言われていたかというとアルコールを摂取するとアルコールが分解されアセトアルデヒドが産生されます。アセトアルデヒドが血液中に増加すると血管を一時的に拡張させる働きがあるからです。一時的な反応を上手に切り取って、都合よく『適度なお酒=体にいい』と結びつけていたのです。結局、お酒とともに塩分を過量摂取してしまうことで血圧は結果的に上昇して行くのです。慢性的な血圧上昇やお酒による脂質異常は動脈硬化を進行させ、塩分を控えても下がりが悪くなる訳です。
『適度のお酒は健康に良い!』ではなく『お酒は飲まない方が健康に良い!』なのです。
今年、厚生労働省が女性20g、男性40gという1日のアルコール摂取量の基準を明示しました。お酒好きの方は、一つの目安にするといいと思います。飲み過ぎにはご注意を。