- 2022年6月11日
- 2022年11月22日
50歳以上の帯状疱疹ワクチンについて!
50歳以上の帯状疱疹のワクチン接種に関するお問い合わせが増えていますので今回はそのお話をしたいと思います。
帯状疱疹とは?
日本人の90%が水痘帯状疱疹ウイルスに感染しています。感染と発症は別問題なので解釈に注意が必要です。感染者の3人に1人が概ね80歳までに発症します。顔や、胸部、腹部、腰部などの左右どちらか一方にぴりぴりとした痛みをまず違和感として感じてきます。その後、赤い斑点と小さな水疱が帯状に現れてきます。ウイルスは体内の神経節という場所に潜んでおり、加齢やストレス、過労などが引き金となり潜んでいたウイルスが再活性化し、帯状疱疹として発症してしまいます。
帯状疱疹で厄介なのは、皮疹が治癒後も同部位に疼痛が残存することにあります。軽い痛みの人から日常生活に支障がでるほどの痛みが生じ、その期間は50歳以上の発症の場合は患者の2割が最低3ヶ月から6ヶ月程度続くとされています。場合によっては数年の場合もあるとも言われています。
また、帯状疱疹はが頭部から顔面に発症した場合 、目や耳の神経が障害されると、めまいや耳鳴り といった合併症がみられることがあります。重症化すると、視力低下や失明 、顔面神経麻痺など 、重い後遺症が残る可能性があります。
ワクチンの種類は?
2種類あります。弱毒水痘生ワクチン(ビケン)とシングリックス(グラクソスミスクライン)です。前者は小児の水痘ワクチンとしても使用されているものです。3年目まで51%の発症を予防し5年目まではある程度効果が残るがそれ以降は免疫能力は極端に低下することが報告されています。
一方、シングリックスは接種後3年間の予防効果は97.2%であり、前者と比べるのも申し訳ないくらいの差があります。そしてその持続は現在のところ9年程度は続く事が判明しており、おそらく今後の研究結果の予測としては10年以上は免疫能力が続くと考えられています。また、シングリックスは、仮に発症したとしても重症化することはほとんどないと言う研究結果が得られています。
副作用は?
正直、コロナワクチンを乗り越えた方々であれば、それほど気になるようなものではありませんが、注射部位の痛みや倦怠感等がどちらもみられますが、比較的シングリックスの方が報告としては多いです。
注射回数は?
弱毒水痘生ワクチン(ビケン)は1回で、シングリックス(グラクソスミスクライン)は2ヶ月あけて2回接種となっています。
コロナワクチンと同時接種はできる?
できません。前後2週間を開ける必要性があります。
シングリックスのデメリットはないの?
注射回数と値段だけです。効果が極めて高い分高額です。当院ではシングリックス1回接種費用として25000円(税別)を頂戴しております。2回接種なので50000円(税別)となります。
なお、水痘生ワクチン(ビケン)は8000円となります。
結局どっちがいいの?
圧倒的にシングリックスをお勧めします。なぜなら、効果が高いからとしか言いようがありません。どうせ接種するなら値段が高くても、効果が高いシングリックスがお勧めです。
よく考えてみてください。シングリックスは約10年で50000円であり一年あたりにすれば5000円です。月約400円です。水痘生ワクチンは3−5年で8000円であり一年あたりの費用は1600円から2600円程度となります。ならすと月200円程度の負担です。月200円で弱い免疫獲得効果しないワクチンにするのか、月400円で圧倒的強い免疫効果が得られるワクチンにするかは、価値観次第ですが、どうせ接種するならと私は思います。発症してから後悔するくらいなら最初からガッツリとした免疫が欲しいですよね。
迷っている方へ
迷う必要性あります?今現在新型コロナウィルス感染者は900万人です。国民の1割に満たない数字です。それでもワクチン接種が大事と思って接種しますよね?帯状疱疹は80歳までに3人に1人の割合で発症しますよ?コロナと帯状疱疹、発症する可能性は現時点では圧倒的に帯状疱疹ですよ?これでもまだ迷いますか?(死に至る可能性があるコロナと比べるなという声が聞こえてきそうですが、あくまでものの例えとしてあげているだけですので異論は受け付けません。笑)
当院の方針
コロナは死に至る可能性があるため、ワクチン接種を皆様に強く勧めてきましたが、帯状疱疹はそういう訳ではありません。今まで数多く接種してきていますが、ゴリ押しした事は1回もないのでご安心ください。色々書きましたが、それぞれの患者様のお考えがあるとおもいますので、ご希望いただいた選択を無理に変更させようという事はありません。この情報を元に、ご自身でご判断ください。