• 2022年6月27日
  • 2022年11月22日

サル痘についての最近の話題

サル痘についてのリクエストが外来でありましたので今週はサル痘について纏めていきたいとおもいます。

サル痘ってなに?

サル痘はサル痘ウイルスによる動物由来の感染症です。ちなみに新型コロナはコウモリ由来と言われています。

サル痘という名前ですが、もともとサルは無関係で、本当の宿主はネズミの仲間と考えられています。実験動物を集めていたときに偶発的にウィルスに感染している猿がいたことで発見され、サル痘ウィルスと名付けられ、発症した場合にサル痘と呼ばれるようになったと言われています。猿にしてみたらいい迷惑です。ネズミのウィルスなのに偶然サルから発見されただけなんです。可哀想なサル。サル痘のヒトへの感染事例が初めて報告されたのは、1970年のザイール(当時;現在のコンゴ民主共和国)です。それ以降アフリカにおいて、コンゴ民主共和国をはじめとするコンゴ盆地から西アフリカにかけての熱帯雨林地域で、サル痘のヒト感染が報告されていました。

感染経路は?

ウイルスを保有しているリス、ネズミの仲間、感染したサルなどの動物の、血液や体液に触れることでヒトに感染します。またそれらのリスやネズミの肉を加熱不十分な状態で食べた場合も感染すると言われています。また、サル痘に感染した人の飛沫を浴びたり、サル痘に感染した人の体液や皮膚病変に触れるたりすることでヒトからヒトへと感染していきます。今回の欧米を中心とする集団発生は、男性同士の性行為が伝播の原因と言われています。2022年6月27日時点で、世界での発症者は3557例で、その内女性は僅か3名と報告されています。

潜伏期間は?

サル痘は従来、感染してから5から21日間(平均12日間)の潜伏期間があると言われていましたが、今回の集団発生の潜伏期間は平均8.5日とされ95%の人が17日以内の発症と報告されています。

症状は?

天然痘に症状が良く似ていることから症状だけでこれら2つの疾患を鑑別することは困難と言われています。発熱、強い頭痛、リンパ節の腫れ、筋肉痛、強いだるさで発症します。発症から1から3日後には水疱が顔に出現し、やがて全身に広がります。水疱は顔以外では特に手のひらや足の裏にできやすく、口の粘膜や眼、生殖器にも出現します。出現から10日ほどでかさぶたになります。症状が似ている天然痘は幸いな事に、1980年に世界から根絶されたとされており、この症状を見たらまずサル痘を考える必要性があります。

他疾患との鑑別はどうしたらいいの?

水疱ができる疾患として水疱瘡がありますが、水疱瘡では水疱やかさぶたになった水疱、治癒課程の水疱など様々な進行度の皮疹が入り混じっているのが特徴です。一方でサル痘や天然痘では全身の皮疹が同じ時間軸で均一に進行していくのが特徴です。つまり、皮疹がワーっと出て、一斉にカサブタに変化して治癒していくということです。かさぶたが消えるまではおよそ3週間と言われています。

サル痘の致死率は?

過去のアフリカでの発生例では、致死率は1%から10%程度と報告されていますが、2003年の米国での集団発生時には死亡例はありませんでした。また、今回のサル痘は比較的致死率が低いタイプのものと判明しており、現在のところ死亡者は1名と報告されています。

日本での発生数は?

今のところ0です。

万が一、全身に水疱がでてしまったら?

日本では、サル痘の報告が現在のところ無いため、基本的には水疱瘡と考えられますが、万が一、水疱が全身に広がってしまったら直接病院やクリニックには受診せずに、電話での問い合わせを行ってください。絶対に、連絡なしでの直接来院は避けてくださいね。くれぐれも宜しくお願いします!

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