- 2021年1月23日
- 2021年1月24日
新型コロナウィルスワクチンについて知っておくべきこと(2021年1月23日現在)
新型コロナウィルスワクチンに関するQ&Aが、New England JournalのCOVID-19 vaccine resource centerに掲載されました。要点をまとめてみました。(原文:https://www.nejm.org/covid-vaccine/faq)
1)ファイザー社のワクチンおよびモデルナ社のワクチンともに、極めて高い効果がある。有効性はこれまでで最も効果的なワクチンに匹敵し、偽薬と比較し約95%新型コロナの発症率を低下させた。
2)ファイザー社のワクチンおよびモデルナ社のワクチンともに、2回接種が推奨されている。1回目の接種後10~14日で、予防効果がみられるようになるが、さらに効果をより高めるため2 回の接種が望ましい。
3)効果の持続期間についての情報はいずれのワクチンも治験開始から数ヶ月程度しか立っていないため今の所は不明だが、少なくともモデルナ社のワクチンの第1相試験の結果からは,中和抗体は4ヶ月間は持続する事が分かっている。
4)ワクチンが無症状感染まで抑制しているかは今の所不明である。(つまり、ワクチンによって症状発現や重症化が抑えられ、感染はしているが症状が出ない人が増える可能性がある)ワクチンを接種してもしばらくは3密回避、マスク着用、手指消毒などの継続が必要である。
5)どちらのワクチンも100%ではないが、非常に安全である。しかし極めて稀な副作用の報告が報道される事で実際のリスク以上に一般の方々に恐怖を与えている。副作用のリスクは、コロナで重篤となるリスクよりもはるかに低いことが重要である。
6)最も多い副作用は注射部位の痛みで、とくに接種後12~24時間は痛みを伴う。(インフルエンザ注射でも起きる注射部位の腫れと痛み)その他、倦怠感と頭痛も比較的多く認められたが、これらの症状は通常数日以内に消失し、アセトアミノフェンやイブプロフェンで改善する事が分かっている。一般的に、高齢者よりも若年者に副作用が多く、1回目より2回目接種で多くみられる。
7)英国と米国で1回目の投与でアナフィラキシーを起こしたケースが報告されたが、いずれも添加物であるポリエチレングリコールに対するアレルギー反応と考えられている。(ポリエチレングリコールは様々な薬剤や化粧品(石鹸やシャンプーなど)に含まれている身近な化合物)よって、投与後15分は経過観察することが望ましい。アレルギー体質の人は30分の経過観察が望まれる。なお、最も大事な事はこのアナフィラキシーは極めて稀であるという事だ。推定で約10万回投与に1回の頻度である。この頻度は他のワクチンよりは高いが、抗生剤であるペニシリンで報告されている頻度(5000 回に 1 回)と比べ大幅に低い。なお、ペニシリン系抗生剤のアナフィラキシーは発症してもまず報道されることはない。(このワクチンは気軽に飲んでいる内服薬よりも重篤な副作用の発症頻度が低い)
8)開発期間が非常に短いため長期的な副作用については不明であるが、そもそもワクチンという薬の性格上(既存のワクチンの意味)、長期的副作用は非常に稀である。
私なりのまとめ:論文を見る限りファイザー・モデルナの両ワクチンは極めて安全性が高いものである。稀な副作用をクローズアップして報道するため安全性が低い又は不明であるかのような風潮がある。100%安全とは言い切れないのは確かであるが、抗生剤などの内服や点滴よりも重篤なアレルギー反応は起きない事が確認されている。コロナに感染して重篤化するリスクや自分は大丈夫でも周囲の人を死に至らしめてしまうリスク、社会的な経済活動が封じられてしまうリスクを考えるとワクチン接種によって得られる恩恵の方が遥かに大きい。そもそも何の薬を使用するにしても(風邪薬や漢方などの手軽な薬なども含む)ゼロリスクはあり得ないことを再度認識する必要がある。私の専門領域である呼吸器内科では様々な薬剤(市販されている風邪薬や漢方・処方さる様々な薬や抗がん剤など)による副作用で発症した間質性肺炎で人工呼吸器まで重篤化してしまうケースを何度も経験してきた。ワクチンのみにゼロリスクを追求する偏向報道には聞く耳を持たない事が重要である。テレビの報道も後ろ向きで批判的な内容ではない、建設的で前向きな内容になることを強く望む。短期的にゼロコロナの世界が絶望的になった今、ウィズコロナを如何にして乗り切るかを前向きに考えたい。コロナ対策を全くしていない一部の人の特集はいらない。それよりも真面目にコロナ対策に取り組んでる人をもっとクローズアップして欲しい。その人たちの考えやアイディアを報道して欲しい。今こそテレビの力で国民を前向きなOne Teamにして欲しい。総理大臣の言葉が胸に響くか響かないかなんて問題ではない。みんなが少しづつでも行動にブレーキを踏めば、感染者数が減ってくるのは国民全員が知っていることなのに。明日の誰かを助ける事が出来るのに。一人一人の行動変容が、大きな結果を生むことになる。 one for all, all for one(一人はみんなの為に、みんなで一つの目的の為に)