• 2021年8月22日
  • 2021年9月5日

医療崩壊が実際に起きています。コロナ陽性妊婦が搬送できない理由とは?

8月22日のLINE配信です。 今週も、代診、休診はありません。 新型コロナ宿泊療養施設からの遠隔テレビ診療の依頼が増えています。 ワクチン未接種者の感染した患者様がそのほとんどを占め、その方々は皆共通して、発症後、数日から1週間たっても毎日38から39度以上の発熱がある。喉の痛みが強すぎてご飯はおろか水も飲めない。咳が強すぎて横になれないと言った内容でした。ワクチンを1回だけ接種した感染者の症状の推移は、未接種者に比べ明らかに症状が軽く、数日で熱も引き、嗅覚・味覚の脱落も数日で改善していました。 本当にワクチン接種の重要性を改めて痛感しました。ワクチンを接種すると熱が出たり、倦怠感が出たり、頭痛が出たりと言った副反応を認める方が一定数います。ただ、コロナに感染した時の事を考えれば遥かにマシです。

また、感染した人の中に、「陽性判定がでてからDrと初めて話をした。不安で不安で仕方なかった。」という方がいました。NEWSでは搬送困難事例が多発していると毎日報道され、それを宿泊療養施設で一人で見ながら、与えられたパルスオキシメーターを頻回に測定し、その都度、恐怖を感じる。本当にこれがこの日本で起きているのです。

また、妊婦の搬送ができずに尊い命が失われたというNEWSが日本に衝撃を与えました。 なぜ妊婦は搬送困難なのでしょうか? 妊婦がコロナに感染した場合、複数科の専門医が必要になります。 呼吸器内科専門医・感染症内科専門医、産科専門医、新生児科専門医、緊急手術が必要となった際の麻酔科専門医となります。また、専門医がいても設備がないと受け入れられません。個室隔離の状況での出産が出来うる設備や緊急帝王切開になっても手術ができる感染者用の手術室の設備などなど、あげればキリがありません。つまりそんな機能が整った病院は大学病院レベルしかないのです。神奈川には医大が4つあり、都内の大学病院の分院も含めれば他県に比べて非常に恵まれた状況ではありますが、それでも妊婦感染者の受け入れは厳しいのです。 私から言えるのは以下の通りです。 ・妊婦さんとその家族はより一層、感染対策を徹底して行動してください。 ・妊婦さんは買い物や人が集まる所になるべく行かないでください。 ・妊婦さんは事前にかかりけ医と感染した際の事を相談しておいてください ・妊婦さんはワクチンを接種する機会が巡ってきたら速やかに接種してください。 もう医療崩壊は現実に起きています。テレビで放映されている事がいつ自分たちに起きてもおかしくありません。感染しても誰かがどうにかしてくれるという状況では残念ながら無くなりました。これはもう災害です。私が生きている間にこのような災害を経験するなんて正直思ってもいませんでした。大学時代に教科書で勉強した昔のスペイン風邪などより最悪な状態に令和の時代になってしまうなんて、世界の医者の誰が予想できたでしょうか。いつになったらこの災害が終息するのか、まだ一筋の光すら見えないこの状況の中、町医者が必死でもがいて、もがいて出来る事は微々たる事かもしれません。それでも、明日が今日よりもいい日になると信じて、必死にもがき続けます。見苦しいくらいに必死になります。諦めが悪いのでくれぐれもご注意ください。皆様とともにマスクなしで笑い合える日が来ると信じて。

8/20入院患者数 重症:199名 中等症:1174名 軽症:97名

8/13入院患者数 重症:178名 中等症:1012名 軽症:90名

残念ながら今週も重症患者数は増加傾向のままです。

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